自社で生産する有機野菜の紹介
(~なぜその野菜を育てるのか~)

自社で生産する有機野菜の紹介
(~なぜその野菜を育てるのか~)

地域・自然

2022-08-24

①主力商品となり、加工品づくりを始める有機生姜

四万十野菜合同会社では、現在 有機生姜と里芋をメインの作物と位置付けて、有機野菜の産地化を目標にして他の生産者

の方々との連携、具体的には勉強会から栽培や販売協力まで大きな力ではないのですが、取り組んでいます。

 2015年9月から始まった弊社の有機野菜づくりですが、

桐島畑の桐島正一さんから手ほどきを受けてスタートしました。

当初、3年間ほどはスーパーマーケットで販売しやすい品目を

中心に20品目の野菜を栽培・販売していましたが、様々な問題があり、現在の生姜・里芋を中心にしたスタイルに落ち着きました。

多品目栽培の難しさは、①知識・経験の蓄積が分散し、注意力も散漫になり、人が育ちにくい ➡ ②習熟が進まず、栽培工程管理が不十分になり

➡ ③適切な役務が果たせず、収穫の量・質が共に不十分、不満足になり ➡ ④出荷調整時の労力の増加、単価の低下、販売不振 ➡ 

⑤負の連鎖をカバーする為に何かの対策をする ➡ 例えば、経費節減で肥料成分を、、、というような悪循環に陥りやすい事だと思います。

(この負の連鎖を断ち切るには、変なリカバリーはきっぱり諦めて無理をしない。損切りをした上で土づくり、人づくりにシフトする事が大切です)

 自分一人で営農する場合やもともと農家であり周りの人も農業の事を良く理解しているような環境ならば、特に問題にならない事もあると

思いますが、弊社場合、指南役の桐島さん以外は2015年の創業時は全員素人からのスタートでしたのでどうにもならなかったというのが現状です。

(今考えると大変無謀な取り組みでした、、、。桐島さんも週半分の出勤でしたし)

 野菜をつくる中で、最初に販売先から大変良い評価を頂けたのが、里芋でした。味は、粘りもありつつ、ホクホク感もあり芋の香りがあるという

評価であり、収穫量も初めて間もない事を考えれば好結果で、比較的に栽培工程も難しい部分が少なく桐島さんが里芋名人だった事も追い風となりました。

 本題に戻りますが、四万十町は慣行栽培※の生姜では日本一の産地であり、里芋栽培も平成元年から愛媛県の技術支援のもとで取り組んでおり高知県内

では大きな産地です。産地という事は、栽培技術の蓄積が地域の農業改良普及所(農業技術の研究・観察機関)やJA、農家にあるという事であり、

種芋や栽培に使う資材の手配等でも有利であり、仕事の環境が整っています。

四万十町が平成元年、30年以上前から里芋栽培に取り組み始めたのは理由があり、降雨が多く、ある程度の日照や寒暖差のある気候が里芋の好む環境

であり、品質の良い里芋が取れる見込みがあったからであり、全国1である生姜も含めて、「適地適作である」という事が大きな要因になります。

 短いですが、7年間有機農業を実践する中で、つくづく思うのは「太陽は偉大」(おてんとさま)であり、適地適作(地の利)は絶対であるという事

です。風が吹く時に、それに抗い向かい風で前に進むのか。それとも追い風として利用するのかという事です。人生向かい風でも進む必要がある時もある

と思うので難しい所ですが、いつも私はある例え話をします。父の友人で、フィリピンで暮らす方いて招かれて訪問した時の逸話です。お手伝いさんのいる

大変立派な邸宅だったそうですが、立派な庭には大きな木が植わっており、たわわにマンゴーがなっていたそうです。「凄いな!」と声をかけると友人は

「食べたマンゴーの種を庭に捨てておいたら生えてきた」と言ったそうです。そう、大変極端な例ではありますが、これが「適地適作」なわけです。

(価格が高騰しているビニールや鉄などの資材を使って立派なハウスを建て、重油を燃やして加温する必要が全く無いわけです、労力もあまりかかっていないでしょう)

 冒頭でお伝えした弊社の失敗談にも共通する部分があると思いますが、このマンゴーの木の話を考慮すると、あまり向かい風の中で農業を行う事が賢い事

ではないという事は農業経験の無い方でも理解しやすいのではないでしょうか。向かい風でやるにしても、確かな勝算がなければ止めておいた方が良いと

今の私は感じます。世界的にも、天候の大きな変化、温暖化の影響が顕著となりヨーロッパでは干ばつが各地で発生しています。近年 アメリカでは、過去

1200年間、ヨーロッパでは2000年間で最悪の干ばつに見舞われているという事で気候

変動が起こっています。日本においても各地域における降雨量の変化や極端な天候に

現れています。これは、作物における適地適作の条件の変更が発生している事も同時

に意味するようになるでしょう。

 弊社も含めて、農業している人は皆今一度立ち止まり、これからの農業と自身がその

野菜を育てる理由を考える必要がある、転換点に差し掛かっていると思います。

 弊社では、適地適作のもとで、熱帯原産の生姜と里芋の栽培技術の向上に引き続き力をいれ、

有機農業で新規就農者が独立できる仕組みづくりを地域の仲間と一緒になり構築したい!

と決意を新たにしつつ、日々農業に取組んでいます。

( 個人として、生姜と里芋を食べるのが好きという事も大切な事ですね )

②暗闇の中で、自身の農業に光をくれた里芋と一緒でハッピーな筆者。